デンマークブログ - Life in Denmark

日系企業の駐在員としてデンマーク赴任後、現地企業に転職。北欧、ヨーロッパでの日常の出来事や仕事に関する話題を発信していきます。

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自ら声をあげろ~私が駐在員になれた理由~

私がデンマークに来たのは今から8年前の2014年、ある会社の駐在員として赴任しました。当時の会社がデンマークの会社と合弁会社を設立し、その本社をデンマークに置く、というのがきっかけでした。

今回は私が駐在員としてデンマークに来ることになったきっかけ、経緯と、その際経験し学んだことを書きたいと思います。

 

 

充実した日々

2013年、私は当時の会社で、ヨーロッパでの新しいビジネスをスタートさせるプロジェクトに参画しており、日本とヨーロッパ各地を行ったり来たりと、めちゃくちゃ忙しい日々を過ごしていました。

30代前半、年齢的にも経験的にも若手から中堅へ推移していく中、徐々に自分でさばくことのできる仕事が増え、自分でモノを考え、意見を言えるようになってきているという自負、大きなプロジェクトの一員として数ある海外出張をこなしバリバリ働き、毎日忙しい自分に酔いしれ、そして何よりもそのプロジェクトの成功を夢見て、言ってしまえば怖いものなしで日々がむしゃらに突き進んでいるところでした。

 

寝耳に水

そんな中、忘れもしない9月終わりのある日、定時が終わろうとしている時間帯でした。当時の上司が『なんじゃこれ。この記事みた?』と会社のホームページに記載されたプレスリリースの記事をシェアしてくれました。そこには冒頭の内容が記載されていたのです。自分がこれまで携わってきた同じ製品に関する合弁会社を新しく設立する、それが何を意味するのかというのは瞬時に判断がつきました。記事の内容からすると、事業内容、会社設立の時期はもちろん、人数、組織など、かなり細かなことまで決められており、相当な時間を使って事が決められたことも容易に把握できました。

つまり、それまで足掛け2年、遂行してきたプロジェクト、苦労、それと何より自分が思い描いていたプロジェクトの未来は一瞬にして消え去ってしまったのです。

その日はそのニュースを知ってから急激に力が抜け落ち、しばらくぼぉーと何もできずに、そして早々に定時で退社したことを覚えています。

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暗中模索の日々

その次の日から悶々とする日が始まりました。朝起きても例の記事のことを思い出し、『あー、夢じゃなかったんだ。。。』とがっかり。とにかくやる気が出ない。会社についても何をするにもとにかく手がつかない。自分が携わってきた海外のプロジェクトはなくなるわけで、これまでの整理をしようにも、これまでの仕事内容どころか存在意義さえ忘れられてしまうのかと途轍もない不安に駆られ、そんな日をしばらく過ごしていました。

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ピンチをチャンスに

そんな中、唯一ポジティブだったことは、当時の上司が積極的に情報をとるために動き回ってくれ、それを私にシェアしてくれたことでした。こういう話があがっている、こういう風になりそうだ、などわかる範囲、シェアできる範囲で情報を共有してくれ、それに対してどんなチャンスがあるか、いっしょに考えてくれたことでした。そんな中で、新しく設立される合弁会社にまだ入り込む余地があることを入手してきてくれたのです。

その情報を上司から得てから、これはチャンスだ、ここで行くしかないと思い全力でアピールをする毎日が始まりました。今から振り返ってみると、なぜあそこまで“堂々と”“あつかましく”、申し出ることができたのか、自分でも不思議なくらいですが、当時の私としてみれば、とにかく海外で働きたい、という強い思いがあり、自身のプロジェクトが一瞬にしてなくなってしまった今、このチャンスをなくしてはならないという強い思いがあったのだと思います。自分がいかにふさわしいか、自分じゃなきゃだめなのか、など、事あるごとに、毎日毎日しつこいほどアピールしていました。

当時の会社の計画では立ち上げはメンバーを2回に分けて派遣するというものでした。第一弾は4月、第二弾は半年から1年後、様子と状況を見て判断するというものでした。

それを聞いた際にも、自分は第一弾で行きたい、いや行くべきだ、なぜなら云々かんぬんといろいろな理由を述べ、利点をアピールし、その甲斐あってか、無事第一陣として無事派遣が決定されたのです。

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自ら声をあげる

当時を振り返ると自分の状況は恵まれていたんだな、何よりも上司が非常に理解のある協力的な方だったために、運よく駐在員として派遣されたというのはあると思います。

一方で、じゃあ何も行動せず黙っていたら同じチャンスをつかむことができたかというと、答えはNoだとも思っています。自分の気持ちに正直になり、声を上げアピールしたからこそ、そのチャンスをつかむことができたんだと思います。

これは後で知ることになった話ですが、当時、第一弾、第二弾の話が出た時に、同じ部署の先輩で同じく派遣者としてノミネートされている方がいました。ただその人は自分が行きたい、行きたくない、どちらとも意思表示をはっきりせず、選ばれたら行くよ、言われたら行くよ。というスタンスでした。結果的に第二弾で人を派遣するという話自体なくなってしまい、その先輩は駐在でくることはできなくなってしまったのです。

 

会社によっては駐在というのは前任者がいて、ある期間が経つと役職や仕事内容などから、本人の英語力、意志、向き不向き、など関係なく、ほぼ自動的に決まってしまうということもあると思います。ただこうした傾向は明らかにどんどん少なくなってきており、私の周りをみていても、企業としてはやる気のある人、海外に出て活躍したいと思っている人を選ぶ傾向が増えているように思います。

コロナでオンライン化が益々加速され、コロナが落ち着いた後も海外出張や海外駐在も少なくなり、今後駐在という立場は個人的には今後狭き門になっていく一方だと思っています。

そんな中、海外駐在を勝ち取るためにはぜひ自分から声を上げ、なぜ自分か、どんな風に貢献できるか、を自ら積極的にアピールすることが非常に大事になると思っています。

もちろん、声を上げたからと言って必ずしも叶うわけではありませんが、声を上げなければ何も始まりませんし、最悪の場合、先の先輩のようにチャンスを逃してしまう可能性もあります。

駐在は自分で掴み取れ!

以上、ぜひ今後の参考にしていただければ嬉しいです。