ジョブ型雇用とメンバーシップ型雇用の違いを9年の海外経験をもとに詳しく図解
ヨーロッパ人は四角、日本人はマル(自作の図解あり!!)
こんにちは、ひでじろうです。
最近、日本のメディアではジョブ型雇用という言葉をよく聞くようになりました。
ヨーロッパ(もしくは外資系)はジョブ型雇用が多いといわれる一方、
日本はメンバーシップ型雇用という風に言われているようです。
皆さんはどんなイメージを持っていますか?
今回は海外歴9年目、現地企業で働く僕が考える
ジョブ型雇用とメンバーシップ型雇用の違い、
並びにヨーロッパと日本人の仕事における役割分担の違い、
について書きたいと思います。
もちろんヨーロッパと一言でいっても色んな国がありますし、
一概に一括りにするのはできないわけですが
(よく日本では“欧米では”とか“欧米人は”と一括りにされることが多いですね)
今回の内容はある程度一括りにしても当てはまる内容だと思います。
今回の記事は
- これから海外(特にヨーロッパ)に出て働きたいと考えている方
- 日本にいるけれどもヨーロッパの同僚がいる方
- または仕事で取引や仕事上やり取りがある方
には有益な内容だと思いますので是非読んでいただけたらと思います。
自分の仕事環境紹介
まずはご参考までに自分の仕事環境の簡単な紹介から。
現在、僕が働いている会社は、本社はデンマークですが、
世界中に拠点、支店、工場があり、色んな国籍の人がいます。
普段仕事をしている同僚、仕事仲間を見てみると
- デンマーク人 約50%
- イギリスを含めたその他ヨーロッパ 約25-30%
- インドを筆頭にアジア圏 その他
- 日本人は1人(日本の支社にはもちろんいますが、僕の周りにはいません)
といった感じで、社内共通語は英語です。
ジョブ型雇用とメンバーシップ型雇用の違いを図解
仕事に人をあてるか人を仕事にあてるか
よくジョブ型雇用を表す際、こういった説明が使われます。
人を雇う際の話、もしくは社内で人事異動や役割を決める際の話ですが、
外資系に多いジョブ型雇用とは仕事に人をあてる、という一方で、
日本で多いメンバーシップ型雇用はその逆で、人に仕事をあてるということですね。
個人的にはとてもしっくりくる表現だと思います。
僕の働く会社を含め、多くの外資系企業では、職務記述書(Role/Job description)というのがあり、
自分の担当する仕事について、役割と責任所掌(Role and responsibility)というのが(少なくとも紙の上では)
決められていることが多く、それに従って日々の業務を進めていくというのが一般的です。
要はやらなければいけないことに対して必要とされる能力、スキルが決まり、
それに当てはまる人をピンポイントで探してくるということですね。
ジョブ型雇用のイメージ
僕が持つジョブ型雇用のイメージはこういった感じです。
例えばあるチームや部署がやらなければいけない仕事の範囲があるとします。
話を簡素化するため、ここでは四角の空欄で表すこととします。
ジョブ型雇用ではこの後次のようなことが起きます。
作業の量や仕事の内容を考慮の上、役割の分割が始まります。
簡単に言うと誰が何をするべきかを決めるということですね。
それによって必要とされるスキルや能力が決まります。
ここで先に挙げた職務記述書というのも決まります。
また必要な人数というのも決まってきます。
そしてこれに従って人の割り当てが始まっていきます。
それぞれの役割、タスクに必要なスキル経験を持った人間を探してきて、
そこにあてはめていく、正にこういったイメージだと思います。
当然、全てがすべてきっちり埋まるわけではありません。
チームメンバー間で隙間ができたりもします。
いわゆる野球でいうところの“お見合いでポテンヒット”みたいな。
お互いが相手がやるものだと思ってて、結局そのまま放置されるといった感じです。
これはむしろ日本より多いかもしれません。
ピッタリ息が合って作業を進めていける人もいれば、
期待されていることに対して能力が足りていない場合もあります。
ここでいう左下の6の人は能力を伸ばすためにコースや教育を受けることになるか、
あまりにギャップが大きい場合は残念ながら解雇となってしまうこともあります。
仮に一人抜けた場合、またそこに当てはまる人を探してくることになります。
よほど特殊なスキルや経験でない限り、人探しに苦労することはありません。
もしくは場合によっては一時的にコンサルタントを雇って対応するということもあります。
日本式メンバーシップ型雇用のイメージ
では日本の場合はどうでしょう。
日本では職務記述書というのを準備する会社は非常に少ないと思います。
この人ならできそう、だとか、あの人は前にやったことあるから、
もしくはやったことないけど今後を見越して育てていくために、といった理由で
人に仕事が当てられることが多いと思います。
以下のようなイメージです。
最初に役割や必要とされる能力をはっきり決めるのではなく、
なんとなーくモヤっと決まっていく感じです。
もしくは、長年このやり方でやっているから、などという??なことも
まかり通ってしまいます。
また作業の量にばらつきが出てしまうのも特徴の一つと言えます。
新人君は数年後には立派に成長して一人前になる一方で、
作業の量と能力のバラつきから忙しい人はどんどん忙しくなり、
それに隠れてサボってしまう人が出てくるというケースも無きにしも非ずだと思います。
最悪の場合、周りの人がカバーしなければいけなくなるという悪循環を抱えています。
メンバーシップ型のメリットデメリット
メリットには以下のような点が挙げられます。
- 将来を見越して人を育てるという計画のもと教育、人材育成ができること
- はっきりとやることが決まっていない分、ハッキリしない領域はお互いカバーしあって作業の漏れが少ないこと
一方でデメリットは先にも挙げましたが、
- お互いにカバーしあう分オーバーラップが増える、つまり二度手間な作業が出てくる
- 人を育てるということが前提のため、スピードについていけない
- 作業の量や能力の差にばらつきが出てきて、それが他の弊害を起こす可能性があること
そして会社にとっての最大のデメリットは能力が著しく足りていない場合や、
サボっている場合でも、会社側が解雇することが非常に困難だということです。
今後の日本企業が向かう展望
あくまでも僕個人的な考えですが、日本企業も今後はジョブ型雇用に向かっていく、
もしくは向かっていかざるを得ないと考えています。
理由はいくつかありますが、最も明白なこととして、
現在の私たちを取り巻く環境の変化、企業が進むスピードを考えた際に、
どうしてもスピード感をもって変化に対応していく必要がありますし、
いつも、時間をかけて人を育てていく、というのでは
時代に取り残されてしまうからです。
よって、全てがすべて、というわけではないですが、
ある程度はこういったジョブ型雇用で素早くスタートアップ、
新規事業を展開、といったことを進めていくことが自ずと必要されてくる
と考えています。
来るべき時代に向け今から少しずつでも準備をしておいた方がよさそうですね。
今日も読んでいただきありがとうございました。
また次回もよろしくお願いします。